トルテックの自由の道① 古い合意を破ること　〜トルテックの教え〜

自由とは何か。誰もが、自由について語る。私たちは、本当に自由なのであろうか。私たちには、ありのままの自分でいるという自由はあるのだろうか。本当の自由とは、人間のスピリットに関わっている。それは、私たちがありのままの自分であることの自由である。

私たちが自由であることを妨げているものは何、あるいは誰だろうか。私たちは、自分の外側のせいにする。いったい、誰が私たちが自由でいることを妨げているのだろうか。私たちが、自分で妨げているのである。

私たちは、遠い昔の記憶を持っている。その時、私たちは自由であり、自由であることを愛していた。しかし、私たちは、自由が本当は何であるのか、忘れてしまったのである。

非常に小さな子供は、自分の感情を表に出すことを恐がらない。これこそ、正常な人間のあり方である。子供として、私たちは、未来を恐がらず、過去を恥じたりしない。私たち普通の人間の性質は、人生を楽しみ、遊び、探索し、幸福であり、愛することである。

本当のあなたは、決して大きくならない、子供のままである。ときどき、遊んだり、幸福を感じたり、絵を描いたり、詩を書いたり、楽器を演奏したり、何か自分を表現している時、子供のままの自分が現れる。本当のあなたが現れる時、過去を気にせず、未来を心配していない時、人生でもっとも幸福な瞬間なのである。あなたは、子供のようなのだ。

しかし、こうした全てを変えてしまうものがある。私たちはそれを「責任」と呼んでいる。「〜ねばならない」という全ての責任が心に浮かぶと、私たちは顔色を変え、顰めっつらしい表情になる。子供のような表情が大人の表情になる。これが私たちなのである。私たちは子供のままなのに、自由を失ったのである。

私たちが探している自由とは、ありのままの自分でいる自由、自分を表現する自由である。しかし、私たちが自分の人生を振り返ってみると、ほとんどの時間、私たちは、ただ他の人を喜ばせること、他の人たちに受け入れられることばかり考え、自分を喜ばせることを考えに入れていない。これが、私たちの自由に起きたことなのである。

いちばん悪いことは、私たちが自分たちが自由ではないことに気がついていないことである。私たちの心の中で、自由ではないとささやく声があるが、私たちは、その声を良く理解できないし、なぜ自由ではないのかも理解できないのである。ほとんどの人は、自分の中にいる「裁判官」と「犠牲者」によって自分たちの人生が支配されていることを理解できない。これが問題なのである。そのため彼らは自由であることの機会がつかめない。自由への最初のステップは、気づきである。自由になるためには、自分が自由でないことに気がつかなければならない。

気づきは、常に最初のステップである。気づかなければ、変化させられるものはなにもない。気づきがなければ、あなたの心は古い傷や感情的な毒でいっぱいであり、傷をきれいにし、癒すことができない。あなたは苦しみ続けることになる。

苦しむ必要はなにもない。気づきがあれば、あなたは反撃し、もうたくさんだ、と言うことができる。癒しの道を見つけ、自分を変容させることができる。苦しみは、リアルでさえない。この地球の夢は、単なる夢なのである。自分の夢の中へ入り込み、自分の信念に疑問を呈してみる。そうすると、あなたを傷ついた心にさせたほとんどの信念が、真実でないことに気がつくだろう。あなたは、長い間、苦しんできたあなたの人生のドラマが、全く無であることに気がつく。なぜだろうか、それは、あなたの心の中に据え付けられた信念のシステムが、嘘に基づいているからである。

自分の夢を支配することが大事なのは、このためである。トルテックが夢を支配するのも、このためである。あなたの人生は、あなたの夢の現れ、顕現なのである。それは技（アート）なのだ。あなたは、もし、その夢を楽しんでいるのでなければ、いつでも人生を変えることができる。夢を支配する人は人生の傑作を創造する。彼らは、選択することで、夢を支配する。全ての選択には、結果が伴う。夢を支配する人は、この結果について、気がついているのである。

トルテックであることは、１つの生き方である。それはリーダーも、追従者も持たない生き方であって、あなたは自分の真実を持ち、自分の真実を生きるのだ。トルテックは、賢くなり、野生となり、自由になるのだ。

トルテックになるために、習熟しなければならない３つの技（アート）がある。まず第１は、気づきのコントロールである。自分が本当は誰であるのかを、その全ての可能性とともに、気がつくことである。第２は、飼い慣らしのプロセスをいかに変え、そこから自由になるか、という変容の技術をマスターすることである。

第３の道は、「意図」をマスターすることである。意図とは、トルテックの見方からするれば、変容させるエネルギーを可能にする道の１つである。全てのエネルギーを包括する生きた有機体がある。それを神と呼んでもよい。意図とは、それ自体、生命であり、無条件の愛である。意図をマスターするとは、言い換えれば愛をマスターすることである。

トルテックの自由の道は、飼い慣らしから完全に自由になる全ての地図を持っている。トルテックは、「裁判官」、「犠牲者」、信念のシステムを、人間の心に侵入する「寄生体」にたとえている。トルテックの見方からすれば、飼い慣らされた人間は皆、病気なのである。なぜなら、寄生体が彼らの心、彼らの脳を支配しているためである。寄生体は、恐怖、恐れから来る否定的な感情を食べて、大きくなる。

私たちの脳は、物質的なエネルギーを感情的なエネルギーに作り変える働きを持っている。私たちの脳は、感情の工場である。心の主な働きは夢を見ることである。トルテックは、「裁判官」、「犠牲者」、信念システムは、あなたの心を支配している寄生体である、とみなす。それは、あなたの夢を支配しているのだ。寄生体は、あなたの心を通して夢を見、あなたの体を使って生きている。それは恐怖から来る感情を食べて、生き残り、苦しみとドラマに出会って、元気づく。

私たちが求めている自由とは、信念システムに従った人生を生きるかわりに、自分たち自身の人生を生きることである。自分たちの心が「裁判官」と「犠牲者」によって支配され、「本当の自分」が隅に追いやられている時に、採るべき選択は2つある。１つの道は、このままの生活を続け、「裁判官」と「犠牲者」に降伏することである。２番目の選択は、私たちは、反抗し「NO」と言う。私たちは、寄生体に対して、宣戦布告をする。それは「裁判官」と「犠牲者」に対する戦いであり、私たち自身の独立のための戦いであり私たち自身の心と脳を使うための戦いである。

カナダからアルゼンチンに到るアメリカ大陸のすべてのシャーマンの伝統において、人々が自分たちを「戦士」と呼ぶのは、このためである。彼らは、心の中の寄生体に対して、戦いを挑んでいるのである。これが本当の「戦士」の意味である。「戦士」とは、寄生体の侵略に対して戦う者のことである。「戦士」は反抗し、戦いを宣言する。しかし、「戦士」であることは、常に戦いに勝つことを意味しない。勝つこともあれば、負けることもある。しかし、常にベストを尽くせば、再び自由になるチャンスはある。この道を選べば、私たちは、反抗者の尊厳を保ち、自分のつまらない感情、他人の毒のある感情の無力な「犠牲者」にならずにすむ。私たちは、いったん敵に屈服しても、戦い返すことを知らない「犠牲者」にならないですむ。

「戦士」であること 〜 その１番の良い点は、この地球の夢を超え、私たちの個人的な夢を、天国と呼べるような夢に変える機会が与えられることである。地獄と同じように、天国もまた心の中に存在するのである。それは、喜びの場所、幸福の場所、自由に愛し、ありのままの自分でいられる場所である。私たちは、生きてる間に天国に到達できる。死ぬまで待つ必要はない。神は常に現前し、天国は、あらゆるところにある。しかし、まず私たちは、この真実を見、聞くことのできる目と耳とを持たなければならない。私たちは、寄生体から自由になる必要がある。

寄生体は、千の頭を持つ怪物にたとえられる。寄生体の頭の１つひとつは、私たちの持つ恐怖という感情の１つなのである。自由になりたいと思えば、私たちは寄生体を破壊しなければならない。１つの解決策は、寄生体の頭を１つずつ、つぶしていくことである。つまり、恐怖が起こるごとに、ひとつずつ、それに向き合っていくことである。これはゆっくりしたプロセスであるが、効果はある。私たちが、１つの恐怖に向き合うごとに、少しずつ自由になっていく。

２番目のアプローチは、寄生体に餌を与えるのをやめてしまうことである。もし私たちが、寄生体に餌をやるのをやめれば、寄生体は飢えて、死んでしまう。このためには、私たちは、感情をコントロールし、恐怖から来る感情が燃え上がるのを止めなければならない。これは、言うのは簡単だが、実際には非常に難しい。難しいと言うのは、「裁判官」と「犠牲者」が心を支配しているからだ。

第３の解決策は、「死への入門 initiation of the dead 」と呼ばれる。死への入門は、世界中の多くの伝承や秘教的教えに見られるものである。エジプト、ギリシャ、インド、アメリカなどにある。それは象徴的な死であって、実際の身体を傷つけることなく、寄生体を殺すものである。私たちが象徴的に死ぬ時、寄生体も死ぬ。これは最初の２つの解決策より早いが、実行はより困難である。死の天使に直面するには、非常な勇気を必要とする。非常に強くならなければならないからだ。

4つの約束　ドン • ミゲル • ルイス

より抜粋、要約

AI images : nanolovepixie